時計の生産国と言えば真っ先に思い浮かぶのは、やはりスイス。でも、かつてのアメリカは自国内でムーブメントを生産していた時計大国でした。現在ではスウォッチグループ傘下のHAMILTONも、電池式腕時計の発明や世界初自動巻きクロノグラフムーブメントの開発にも携わる程の技術力を持っていた歴史があります。そんな古き良き時代のアメリカを感じられるHAMILTON・Cal748のオーバーホールです。
すでに洗浄を終えて、これから組み立てるところです。テンプ下の受け石などを取り付け、動力源であるゼンマイを格納した香箱を入れています。
リュウズでの巻き上げをゼンマイへ伝えていく部品類を取り付けます。受けには『ADJUSTED』の表記があります。
輪列の歯車を取り付けます。秒針をセンターに取り付けるために高さのある軸に歯車が二枚付けられ、受けの上部から伝えていくちょっと特殊な仕組みです。
輪列受けにもストライプ状の彫を施した美しいムーブメントですね。アンクルという部品を組んだあとにテンプ一式を取り付けます。ヒゲゼンマイは天才時計師・ブレゲが発明した”巻き上げヒゲ”という姿勢差に強い方式をとっています。
テンプ受けにはしっかりと『U.S.A.』の刻印がありますね。アメリカ製の証です。
ケースが上出しのワンピース構造だったこともあり、機械自体はとても綺麗な状態でした。内側に『8/65 clean』、『10/90 Clean』と刻まれていたので、アメリカで1965年と1990年にオーバーホールを行ったのではないでしょうか。今回はJapanでOverhaul!
そして時計本体はこちら、HAMILTON・Lyndon。1952年発売で、当時の価格は71.50ドルだったようです。