ビンテージ時計に限ったことではなく、時計の時間不良の原因で非常に多いのが『磁気帯び』です。これ、本当に多いのですがあまり知られてないですよね。最近オメガから磁気の影響を受けないモデルが発売されましたが、昔からどのメーカーも耐磁性能を打ち出したモデルは数多く展開されています。なのにあまり浸透していないのは目に見えなくて良くわからないから、かも知れません。
そこで大切なお時計を快適に使って頂くために磁気の事をちょっとご説明します。絶対にここで知っておいた方がいいですよ!残念なことに時計を売るときにちゃんと説明するところはほとんど無いですから。そして、長々と説明するので読むのが面倒なヒトは最後の結論だけでもみて下さい!
まずは、『磁気帯び』ってなんなの??からですよね。簡単に言うと、『携帯電話やPCなど磁気を持った物に時計を近づけてしまい、その影響で時計が狂ってしまった状態』です。電磁波や電波じゃないです。磁石の『磁気』ですよ。
クオーツ(電池で動いてるタイプ)のアナログ時計は、極小のモーターで動いています。つまり電磁石の力を利用して動いているので、外部から強い磁気の影響を受けると止ってしまったり、時間が狂ったりします。
また、機械式(ゼンマイで動いているタイプ)は、時間を制御するヒゲゼンマイなどの金属部品が磁化することで時間不良を起こします。画像でいうと、下の方の円形のところあたりですね。多くの場合は大きく進みます。
どちらも磁気の影響から離れるとそれなりに動いてしまう事も多いので、余計にわかりにくく厄介なのです。ちなみに、デジタル時計は上のどちらの部品も使ってませんから基本的に磁気の影響は受けません。
それならどうしたらいいのか!?答えは簡単で、磁気を持ったものに時計を近づけなければいい!だけです。そして、これしかありません。
【身の回りの磁気を持った製品例】
- 携帯電話(スピーカー部) ~22,400A/m
- 携帯ラジオ(スピーカー部) ~16,000A/m
- ノートPC(スピーカー部) ~8,000A/m
- オーディオ機器 ~12,000A/m
- 磁気ネックレス ~96,000A/m
- 肩こり用磁気製品(ピップエレキバンなど) ~144,000A/m
- 家具のドア部のマグネット ~64,000A/m
- バッグの留具 ~72,000A/m
- 電気カミソリ ~10,400A/m ※数字は密着状態でのおおよその磁界の強さ
“スピーカー部”となっているのが多いですよね。他にもテレビや携帯音楽プレイヤーなど、音が出るものはスピーカーを使ってますので近づけたら駄目です!そしてモーターを使用している電化製品も駄目ですね。でも、携帯電話(スマートフォンもですよ)などはみんな使いますし、離すといってもなかなか難しいような気がしてしましいます。
だったらどのくらい離せばいいんだ!?の実験をしてみます。
こちらはスマートフォンと方位磁針を密着させた状態です。針が完全に引き寄せられています。ここはスピーカー部分ですね。
そしてすこし離れて真横で密着させたところです。先ほどと方位磁針の針の向きが違いますよね。方位磁針が時計だとして、家のテレビやPCとこんな状態の方、いませんか?
次に5㎝離して置いてみます。若干針が右に振れているのがわかりますね。下の木目が同じなので方角が変わったわけではないですよ。
こんどはさらに10㎝まで離してみましょう。先ほどと針の位置は同じです。
磁界の強さは距離の二乗に反比例するので、少し離すだけで磁気の影響はほとんどなくなるのです。
つまり・・・、5㎝くらい離しておけば大丈夫!10㎝ならもっと安心!!なのです。ちょっと気を付けておけばそれほど難しくないですよね。
そして、一度着磁してしまうと専用の機材でなければ磁気を消すことが(脱磁といいます)出来ません。エルオクロックでは磁気帯びのチェックと脱磁は無料なのでお近くの方はお気軽にどうぞ!