エレクトロニックウォッチ(Cal.ESA9150)

腕時計には様々な仕組みのものがあり、ゼンマイを駆動源とした手巻、自動巻きといった機械式時計や水晶に電圧をかけると一定の振動をする特性を利用したクオーツ時計、光で発電するソーラー時計、最新の機能では衛星からの電波を受信して時刻修正をするGPSソーラーといった機能も出来ています。時計はより正確に、そして止まることなく時を刻みつづける方向へと進化してきたと言ってもいいでしょう。

そんな変化の中で低価格・高精度のクオーツ時計が世界を席巻する少し前(クオーツショックと言いますが、長くなるのでまたの機会に)、実は面白い機構をもった時計・ムーブメントがいくつかありました。

こちらがそんな中の一つ、“エレクトロニック(電子式)”と言われる時計を分解しているところです。DSCN4585

輪列という歯車部分だけが組み込まれている状態です。いつもご紹介する機械式とそれほど違わないように見えます。DSCN4587

そしてテンプという時間を制御する部品を組み込んだところ。これも機械式時計に組み込まれている機構で、名前のような電子的な要素は見えません。が、、、

DSCN4588これでどうでしょうか!!一気に“エレクトロニック”感が出ました!!どうゆうことか簡単に説明しますと、ゼンマイのかわりに電池を使いコイルに電気を流して磁界を発生させ、テンプに付けられた永久磁石との反発を利用してテンプから歯車を動かしていく構造です。駆動源は普通の機械式時計と逆からになりますが調速はテンプ機構で行うので機械式のように歩度調整が必要ですし、精度もそれほど変わりません。ただ、一番のメリットは1年位止まらずに動き続ける!!ところですね。

ちなにみ秒針停止機能が付いているのですが、リュズウと連動して動く中央の大きなレバーがテンプに立てられた小さなピンに「ガシッ!」と当たることでテンプの動きを止めます(笑)

DSCN4610

1957年にハミルトン社が開発に成功したエレクトロニックウォッチの製造期間は短く、このESA9150というキャリバーは1967年~1970年までのわずか3年間の製造ではありましたが、さまざまなブランドに搭載されています。