60~70年代に製造されていたゾディアックの代表モデル”ASTROGRAPHIC”の分解修理です。良く見ると針が宙を浮いて時間を指しています!モデル名の由来もここから来ているのですが、なんとも近未来的なデザインですね。仕組みは単純で、さらに良く見ると透明な円盤が回っているのがわかります。そして円盤を3枚重ねていますので若干曇って見えます(笑)。このあたりのアナログ感も時代を感じさせてくれて良いですね。
仕組みは単純なのですが、これを分解するとなると意外と厄介で、円盤状の針を取り外す際に壊れる恐れがあるのです。ひとまず無事に外すことが出来ました。
ムーブメントはスイス製自動巻きCal.88D、毎時36000振動のハイビートで、ロレックスのデイトナなどに搭載されていることでも有名なムーブメント“エル・プリメロ”と同じ振動数です。古い手巻などで使われるロービートと呼ばれるものが18000振動ですから、いかに高振動かがわかりますよね。丁寧に仕上げが施された綺麗な機械です。
ムーブメントに大きな損傷は無く、分解修理で調子よく作動しています。リュウズを押し込むことで作動する日付のクイックチェンジも問題ありません。
ケースに組み込んだ状態です。ローターも綺麗ですね。外から見えないケースの中に、こんなに綺麗な機械が組み込まれています。
アポロ計画が始まったのが1961年。同じころに造られた時計もそんな時代の雰囲気を纏っています。レトロフュチャーなデザインとメカニカルの融合が楽しめるのは、この年代の時計の醍醐味ではないでしょうか。
高振動のおかげで、青い文字盤の上をスムーズな動きで回り続ける赤いドットの秒針はまるで、地球を回る人工衛星のようです。