Brand History ②アメリカブランド(GRUEN / WALTHAM / TIMEX)

GRUEN

■ドイツ生まれのアメリカ人デイトリッヒ・グリュエンがオハイオ州に時計工房を開いたのがGRUEN(グリュエン)の始まりです。1900年の初め頃から、ムーブメントの製造をスイスで、ケースの製造とケーシングをアメリカで行い完成品にして、主にアメリカで販売されていました。代表的なモデルは1935年に発売された、ケースの形状に合わせてムーブメントも湾曲している「トノーカーベックス」。他にもクロノグラフやアラームウォッチなど60年代頃まで様々なモデルを発売しています。スイスの自社工場を使って積極的に新しい時計機械を開発、他のメーカーに先がけて女性用腕時計も開発していました。31代アメリカ大統領のハーバート・フーバーや、初めて大西洋無着陸横断飛行を成し遂げたアメリカの英雄チャールズ・リンドバーグ第一次世界対戦で活躍したアメリカの軍人らに贈呈していたことなどが、”アメリカの時計メーカー”であることを物語っています。

WALTHAM

■アメリカ・ボストンで、エドワード・ハワード、アーロン・ルフキン・デニスン、デイヴィッド・デイヴィスらが懐中時計の製造会社を始めたのが1850年、それがウォルサムの始まりです。リンカーン大統領も愛用していたと言われるウォルサムの懐中時計は、1876年にフィラデルフィアの万博で金賞を受賞しています。また、19世紀後半は鉄道が普及し、運行システムに必要な時計の需要が増え、高品質な時計を大量生産できたウォルサムが世界各国の鉄道時計として採用されました。1950年代になると、アメリカで製造を行っていたウォルサムは解散してしまいますが、スイスに設立していた子会社がブランドを継承し、その後はスイスで生産されることになります。精度の高いスイスムーブを搭載したビンテージウォルサムは、当時のアメリカを思わせる少し無骨なデザインも、その魅力の一つです。

TIMEX

1854年にアメリカ・コネチカット州ウォーターベリーに「ウォーターベリークロックカンパニー」が誕生しました。その製品は安価で信頼性が高く、労働者階級のアメリカ人にも手の届くものでした。20年間で4000万本を販売したポケットウォッチ「ヤンキー」は、“ドルを有名にした時計”とまで呼ばれした。第一次世界大戦時には軍用時計としても供給しています。1970年代のクオーツショック以降は機械式ムーブメントから脱却し、「Ironman」などスポーツウォッチを展開。激動の時計業界で唯一生き残ったアメリカの時計メーカーです。