L vision No.10 《Vision…展望》 SEIKO Marvel

今回は2年ほど前にセイコーの手巻き時計、マーベルをお買い上げ頂いた高橋様のL vision。


この日は出勤前ということでスーツにネクタイのビジネススタイル。髙橋さんは皇室御用達としても有名な明治5年創業の老舗メーカー、大塚製靴の六本木ヒルズ店に勤めている。

時計をお買い上げ頂いた時も、先日の修理のご依頼で来店されたときも、物腰柔らかで丁寧な受け答えの髙橋さんと話していると楽しくなってついつい長くなってしまう。2年前は、革靴のことや仕事へのこだわりなどをあれこれ聞きいているうちにどうしても髙橋さんから革靴が買いたくなり、後日、お店に伺って2足購入してしまった。(まるでこだわりに出費を惜しまない金持ちのような物言いだがセールの時を狙って行って、だ。)

今回、このページへの登場をお願いすると、これから仕事へ向かう慌ただしい時間にも関わらず笑顔で快く引き受けて頂き、さらには「それならば靴を履き替えますね」とカバンの中から急いで仕事用の靴を取り出しはじめた。

会話の端々からもうかがえるのだが、靴が好きなのは疑いようのない大前提として、大塚製靴という会社への深い愛情や仕事への熱量もひしひしと伝わってくる。先日修理のご依頼で来店されたときに、たまたま「オーツカ」のレザースニーカーを履いていた別のお客さまに思わずといった感じで「ご愛用ありがとうございます」と、お声を掛けたり。

そんな髙橋さんが選んだビンテージウオッチは1960年代のセイコー・マーベル。レザーベルトはHIRSCH社製Sienaのブラックを組み合わせている。現行時計に比べて小さめなサイズでも国産時計としてのプライドが風格となってあらわれている、そんな存在感のあるモデルだ。髙橋さん自身が細身なこともあり時計は小さめが好みで、このサイズもしっくり来ているらしい。夏などはTシャツとデニムに合わせて、オンオフ問わずオールシーズンで使用頻度が多いが水回りにはしっかり注意して使っているそう。

髙橋さん曰く時計と革靴は共通点が多く、デザインの重要性や、価格や品質などが両極端で嗜好品としての側面が強いところ、そして何よりも「見えない部分にこだわりがあるのも共通している」と思っているそうだ。確かに当店のお客様も靴へのこだわりのある方が多く、同じような要素に魅力を見出しているのかも知れない。また、物は違えど「好きなものの魅力を伝えて販売すること」を生業としている者として、アフターサービスも含めて仕事に関する課題も共通するところが多い。

そんなこともあって今後の目標やら何やらとついつい話が長くなってしまうのだ。

また、最近ご結婚されたそうで、家庭を円満に保つための男同士の作戦会議も話が長くなった理由だったことは、ここだけの話に。


実はこの日、髙橋さんが来店されるのを知っていて、ちょっとだけ手入れ方法を教えて頂こうという下心で以前に購入した靴を履いてきていた。「ちょっとだけ」やり方を教えて頂くつもりが、出勤前の大切な時間にも関わらず丁寧に説明をして頂きながら実際にクリームでピカピカに。また髙橋さんから靴を買いたくなってしまった。

次のセールはいつだろうか。


シューマニュファクチャーズ[オーツカ]

六本木ヒルズ ウエストウォーク4F
11:00~21:00(年中無休)

〒106-0032 東京都港区六本木6-10-1
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