先日、ビンテージウオッチフェア&電池交換ワークショップのため数年ぶりに福岡に行ってきて、実は自分の店を始めるさらに3年ほど前に勤めていた会社のなんやかんやで本社から福岡の店舗に異動になって約半年ほど住んでいたことがあり、今回は仕事の前に時間も少しあったし、旅行で訪れたとしても行くことはないであろう大濠公園近くのかつての住居近辺へ足を運んでみることにして、その時の通勤と同じように速足でも30分ちょっとの道のりを歩いて向かってみて、少し寄り道もしながら、そして少し道に迷いながらあてもない風にふかれて歩を進めるとなんとなくその当時のことが蘇ってきて、見覚えのある風景が懐かしくもどこか違って見えて、そう言えばなんやかんやのことを常に考えながら答えを探して歩いていたし、知り合いもまったくいない土地で背中はとても寒かったし、毎日飲んでばかりいたし、でもそれらは反対にいくつかの本当に良い出会いにも繋がったのだけれど、そんなことを色々と思い出し始めたらぬけがらのような気持ちになってきて、足も急に疲れてきて、たどり着いた六本松は再開発で様変わりしていて、昼から弁当と一緒に酎ハイを飲んでひと眠りした休日の夕方から入り浸っていた小汚い串カツ屋もなくなってしまったのではとため息が出そうになったけれど、店は特に変わりなくそこにあって、その近くの小汚い喫茶店もあったし、わざわざ休みを取って東京から遊びに来てくれた友人の離婚話を聞いた小汚い焼き鳥屋もあったし、引っ越して着いた初日に行ったマンションの目の前のBar風の焼き鳥屋もあったし、バス停近くの角打ちは変わってしまったと聞いていたけれど、辛かった思い出は落ち込んだ時の言い訳の記憶で、熱い想いはだだの幻のような気がしてきて、すぐそこだけれど毎朝ジョギングしていた大濠公園へ行くのはやめにして、地下鉄に乗って、ホテルに一度戻って、仕事に向かって、美味しいものを食べて、もう一日仕事して、桜の咲いた豪徳寺に戻ってきた。